光の向こうに

「…家だけど」

『まじっ!ナイス!今、第二公園にいんだけど来れる?』

「え…大丈夫だけど」

『よっしゃ!じゃ、今すぐ来いよな!』


そう言って啓太は一方的に電話を切った。


「なんなんだよ…」

あたしは啓太に会いに行く為
服を着替えた。

ショートパンツに最近
買った白のパンプス。

「気合い…入れすぎたかな」


あたしは駆け足で公園に
向かった。

「啓太っ…!」

「おー、こっちこっち!」

「どうしたのー?」

啓太がこっちと手招きする。

「ほらっ!」

「うわ…!」


草陰に隠れていた白くて
少し汚れいる子犬がいた。

「舞、犬好きって言ってたから見つけてやった!」

「ありがとっ」


あたしは犬を抱き上げて啓太
にお礼を言う。

啓太はあたしを見て頭を
優しく撫でてくれた。


「…そーいえばさ、お前の母さん、再婚すんだってな」

「何で知ってるの?」

「今日、たまたま一緒に帰った結城に聞いた!」


美菜の馬鹿。

「うん、なんかうちの親いきなりいい加減になっちゃったよ〜」

「大丈夫かぁ?いつでも相談しろよ」

「うん…ありがとね!」

「じゃっ、そろそろ帰るか!」

「そだね!あ、でもワンちゃんどうしよ…」

小さな子犬があたしの足元に
寄って来た。

「ん〜…じゃあ明日も来る?」

「うん!」

「よし、決まり!じゃあ気ぃつけて帰れよ」

そう言って啓太はまた
あたしの頭を撫でた。


〜♪〜


受信:お母さん

ご飯出来たから早く
帰って来てね♪



「啓太!ばいばいっ」

あたしは携帯を閉じて啓太に
大きく手を振った。