「今日も湊って呼べなかったわ…。」
「それ、6年目ですよ。灯。」
「そうは言っても…好きなんだもん……。」
そう。わたしは13歳、中学1年生の時。
入学式に銀葉湊に一目惚れしてしまった。
わたしには婚約者がいるし、叶わない恋だとはわかっていたけれど。
恋してしまったものはしょうがない、後悔しないようにしようと決めたの。
中学の時は黒髪だったけれど、高校に入ってからは心機一転ミルクティ色に大変身していた。
「ファンクラブまで作って…。少し変な方向に行ってませんか?」
「うっ……。い、いいの!」
ファンクラブを作ったのはそう、わたし。
桔梗に作らせたと言うほうが正しいけれど。
今日だってたった少ししか話していない。
いつもはこれよりも話せない。
少し自分が情けなく感じる。
「婚約者が銀葉湊だったらいいのに……。」
「………」
そんなわたしを見た桔梗は、少しだけ切なそうにわたしのことを見つめていた。