「まぁ、とりあえず中入ろうよ。」
「お、お邪魔します…。」
「じゃなくて。」
「た、ただいま…?」
「そう、よくできました。」



 そう言って、わたしの頭をわしゃわしゃしてくる。
 これは撫でられている…のかしら?
 でも、湊が笑っているからそれでいいか。



「マンションなんて初めて入ったけれど、以外と狭くないのね。」
「うん。俺も思った。」



 もう一度言おう。わたしたち2人は“ボンボン”なのだ。



「じゃあ、俺がLDKのこと決めたわけだし。案内するよ。」
「え、ええ。お願いするわ。」



 この、無気力…?な湊も相変わらず親切なのね。



「まず、ここは玄関です。」
「そんなのわかるわよ。」



 玄関は黒いシューズクローゼットに黒いアウターラックが置いてあった。



「シューズクローゼットは俺が下3段使わせてもらうから、後は灯が使って。」



 シューズクローゼットは、スペースが広い方が正直言ってとっても助かる。
 なぜなら、色々なパーティーに参加する時、どこかの社長からもらった誕生日プレゼントなど靴がとってもとっても多いから。

 それをわかってくれていたのか、わたしが持っている靴を全部入れても余るくらいのスペースを用意してくれた。



「あ、ありがとう…。」