無自覚なまま、愛を蓄えて。


バイトが始まってしばらくした頃、マスターに言われ、レジを担当することになった。


ここのカフェは常連さんが多く、お客さんは平日でもひっきりなしに訪れる。


黙々とレジを担当していると、カランコロン……とドアの鐘が響いた。またお客さんが来たと思い、顔を上げる。だけど私はその人物を見て思わず息を呑む。



「いらっしゃいませ……」


「2人なんだけど。席、空いてる?」



私はその場で固まってしまった。まさかこんなとこでこの人を見ることができるとは思わなかったから。


よく見てみると、その人の後ろにももう1人隠れていた。何やらこちらを怪訝そうに見ている。



「……あっ、お、おふたりですね。少々お待ちください……」



固まって数秒後、私は慌てて空いている席を確認し、2人を案内する。



「それでは、ご注文がお決まりになりましたらお呼びください……」



ドキドキと心臓が暴れ出す中、私は平静を装って、この場から離れようとする。