無自覚なまま、愛を蓄えて。


お母さんはあまり事情を知らないのか楽しそうに話をしている。その事にあはは、と苦笑いしながら聞いていた。


だけど梓くんの慌てっぷりにふっ、と笑みがこぼれる。



「あらあら。さ、とりあえず上がって上がって。梓の部屋に案内してやりなさいよ。寝る部屋は後で案内するからね」


「はい!ありがとうございます!」




お母さんに負けそうになる梓くん。


このやり取りを見ながら、羨ましいなとも思ってしまう自分がいた。



「わかったよ。ほら、行くぞ」


「うん」



梓くんに案内されてお母さんとお別れする。2階に上がり、ドアを開けて入る。



「お邪魔しますー……わぁ!ここも変わってないね!」


「そうか?」



ぐるっと辺りを見渡すとシンプルなデザインの家具が多め。男の子にしてはシンプルだなぁと小さい頃はよく思っていた。


だけど今もそれは変わっていないらしく、ほとんどが見たことのあるものばかりだった。