聞き返したけど梓くんはその後何も言わなかった。話すことも無くなり、お互いに黙り込む。
しばらくそうして歩いていると、梓くんの家にたどり着いた。
「……懐かしい。変わってないね」
「そうか?」
小学生の頃、よく遊びに来ていた家だ。
あまりにも変わっていないその外見を見て思わずつぶやく。私の家は、両親が離婚してからアパートに引っ越した。
そのせいで少し遠くなってしまった梓くんの家。
でも、何も変わってなくてほっとしている自分もいた。
「親父と母さん、待ってるけど気にしなくていいからな」
「えぇ!挨拶はするよ!久しぶりに会うんだし、ちょっと楽しみなんだから。お世話になるんだし……」
「優星らしいな。んじゃ、どうぞ」
ガチャッとドアを開けて私を中に入れてくれる梓くん。お言葉に甘えて先に入ることに。
玄関に足を1歩、踏み入れると梓くんの匂いが漂った。



