無自覚なまま、愛を蓄えて。


声をかけられるなんて思っていなかったので心臓バクバク。


手から落としかけたスマホを反射的に強く握りしめ、顔を上げる。するとそこには1番手で自己紹介していた早乙女くんがいた。



「あ、ごめんね。驚かすつもりはなかったんだけど。大丈夫?」



狭いカラオケルームの中。


ほかのみんなは歌を思いっきり歌いながら楽しんでいた。そんな中何故か私に話しかけてきた早乙女くん。


よく分からない緊張が襲い、目をぱちぱちと瞬かせる。



「……だ、大丈夫です……。そ、それよりなんか用でしょうか……?」



スマホを制服のポケットにしまいながら恐る恐る返事をした。


男の人と話すのってこんなに緊張したっけ?



「ぶはっ。なんの用って。優星ちゃんと話したいから話しかけたのに。面白い子だな」


「……はぁ……」



自分の中では普通に返事をしたつもりだった。だけど彼にとっては面白かったらしい。