無自覚なまま、愛を蓄えて。


あまりにもあっという間の出来事で、ポカーンと梓くんの消えた先の廊下を見つめる。



「……ねぇ、あの子なんなの?プリンスと仲良さそうだったけど……」



ひっ。


ま、まずい!


廊下に突っ立っていると周りからヒソヒソと話し声が聞こえた。私を見る目もなんだか敵意が含まれてるような……。


ゾクゾクっと寒気が背中に走り、思わずその場から勢いで駆け出した。


ビ、ビックリした……。まさか梓くんがいるなんて思ってなかったから……。しかもあんな公衆の全面で名前を呼ばれるなんて……。


ドキドキしながら、梓くんのことを思い出していると、本令のチャイムが聞こえた。私は急いで授業の準備をし、廊下を走る。


結局授業には遅刻してしまったけど私の胸の辺りはドキドキして、ちょっと幸せな気持ちに満たされていた。



「優星なんかいい事あった?」



授業中、そう真桜にひっそりと聞かれるほど私は浮かれていたらしい。