優星のことを気に入っていたちづは攫われたことに対して怒っているようだった。


散々俺が守るだの、そばにいるだの言っておいてこの結末は想像していなかったらしいちづ。


その怒りは、最もだと思った。



「……おい、いまここで言い争っても仕方ないだろ。とりあえずアジト戻って情報収集と作戦会議。梓、いいな?」



そんな俺たちの間に入ったのは意外にも玲夢だった。


いつでもどんな時でも冷静に物事を判断してみんなをまとめる。そんな役割を玲夢がいつも受け持っていた。



「……わかった。情報収集は理人に任せる。作戦会議は、俺抜きでやってくれ。で、後でスマホに連絡しろ」


「あ?梓はどうすんだよ」


「……俺はある人物の説得に言ってくる」



玲夢のおかげでようやく冷静さを取り戻した俺は、理人にそう言うとバイクの元へ駆け寄る。


……いまだったらあのクソ親父が動くかもしれない。