無自覚なまま、愛を蓄えて。


「東郷梓(とうごうあずさ)くんです。一応幼なじみで……」



私自身も久しぶりに彼の名前を口にして、勝手にドキドキした。他人に教えるのは良くないことだとわかっていたけどこれはしょうがない。


私もあえて嬉しかったのは事実だし……。



「東郷梓?本当に?彼が?」


「へ?そうですけど……」



これでようやく解放されると思っていたけどマスターは驚いたように目を見開いている。


なんだろう。なんか悪いことでもいっちゃったかな。


不安になりながらもマスターを見ていると、



「いい?優星ちゃん。今後彼と関わるんなら気をつけないとダメよ?彼の噂はあんまり良くないものばかりだからね」


「噂……?噂なんてあるんですか?」



顔を真っ青にしながら私に必死にそう訴えてきた。どうやらマスターは彼……梓くんの噂を知っているらしい。


学校だけにしか広まっていないと思っていたのに、まさかここまで広がっているとは。