これ以上彼の顔を見てはダメだ。
自分の心臓が持ちそうにない!
そう思って頭を下げたのに、それも無駄だったことを思い知った。
「ご馳走様。コーヒー、美味かった。また来る」
「……っ、!」
彼はぽん、と大きな手を私の頭に乗せてそう言ってくれた。ただ乗せるだけの優しい手に、ドキッと心臓が跳ね上がる。
「おい、行くぞ」
「おう」
彼の友達が声をかけるまで私の頭の上に手を乗せたままだった。ゆっくり離れていくその温もりに寂しさを感じながらも、どこか安心していた。
ドキドキしながらドアの音を聞いていた私はなかなか頭をあげることが出来なかった。
「……あらあら。優星ちゃん、モテモテね〜」
「マ、マスター!?いつの間に!?」
彼がお店を出ていった瞬間、顔をゆっくりあげるとマスターに声をかけられた。
びっくりして素っ頓狂な声を出してしまう。だけど閉店間際だからかお客さんはもういなくて。



