無自覚なまま、愛を蓄えて。


私の言葉になにか言いたそうなマスターだったけどそれに気付かないふりをしてレジに向かった。


チラチラと店の中を見ながら仕事をしていた。彼は何やらもう1人の人と真剣な話をしていて、気になって仕方なかった。


そしてバイトが終わる頃。


そろそろ仕事納めかなと思い、片付けをしようとした。だけどレジに呼ばれてしまい、またお店に戻る。



「はーい……あっ……」


「会計、よろしく」



レジに立つと彼がボソッとそう言って伝票とお金を差し出す。私はドキドキしながらその2つを受け取り、会計を済ませる。


お釣りを渡そうと手を伸ばすと彼もまた手を伸ばしお釣りを受け取る。


その時に少しだけ、相手の手に触れた。


暖かなぬくもり、優しくお金を受け取る仕草。そのひとつひとつの動作に品があり、とてもかっこよく見えた。



「……ありがとうございました……」



ドキドキを誤魔化そうと頭を下げる。