彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「伊織、鳥恒さんをカウンター・・・凛の隣にご案内しろ。百鬼は何もするな。」
「わかった。鳥恒さん、ひとまずこちらにどうぞ。」
「おお、ありがとう。」
「わははは!ありがとよー!!」





ノンカフェインを用意しながら瑞希お兄ちゃんが言えば、指示通りにする獅子島さんと百鬼。



(百鬼だけ、何も仕事を任せないのね・・・)



〔★良く言えばVIP、悪く言えば戦力外通告だ★〕





私の隣に鳥恒先生が座ったところで、キッチンで作業している瑞希お兄ちゃんが言った。





「それで?鳥恒さん?俺らに、どんな説法をしに来たんすか?」
「説法?どういうことですか、瑞希お兄ちゃん?」
「鳥恒さんの性格を考えれば、用事もないのに来るわけないだろう?」
「ははは!バレていたか!」





豪快に笑うと、持参した饅頭の包装を破りながら言った。





「一応、弁解に来た。」
「どんな弁解ですか、鳥恒先生?」
「わしは、君達に部落者を語る時、檜扇湖亀達への恨みのあまり、部落出身者を厳しく批判し過ぎたと思ってな。」
「え!?でも、部落の人がその立場を利用して、悪事を働いている現実はあるのですよね?」
「あるな!!少しずつだが、えせ同和行為も問題になっている。」





そう言って、包装をといた饅頭を見つめながら鳥恒先生は言う。





「部落者と付き合うなとは言わないが、世の中には部落者であることを免罪符に、脅迫をする輩がいる。しかし!!だからといって、全部の部落者を可哀そうだと思ってはいけない。もちろん、ひどい差別を受けている部落者達がいるのも事実だ。1人が悪いことをしているせいで、みんなまでまとめて悪く言われるということもある。良信にはいつもいっているが、蓮君にも、相手の身分ではなく人間性を見極めて、人間関係を作ってほしいとわしは願っている。」
「僕の・・・いえ、僕らのこと、気にかけて下さっていたのですね。」
「そんなたいそうなものじゃないさ。わしは部落者の高野湖亀を憎んでいるが、部落者は憎んでいない。現に、新平民になった友達もたくさんいる。さっきまで一緒に食事もしていた。」
「え!?意外と、身近でお付き合いされてるのですね!?」





あれだけ嫌っていたから付き合いがないと思ってたけど・・・そうでもなかったの?