彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)











「・・・藤原虎次郎の言い分、成島も気にしております・・・!」
「そーかよ。」
「なぜ、真田瑞希ではなく、凛道蓮を優遇されたのですか!?」
「さーな。おりゃ、きまぐれだからよ。」
「柊護坊ちゃま!」
「おしゃべりは終わりだ、成島。仕事に戻るぞ。」

「・・・御意。」

(まただ、この方は―――――――――)










消極的な・・・よく言えば達観、悪く言えばすべてを諦めた態度を示される。

希望を持たないで、日々を過ごしている。

(基地外ぞろいの檜扇家で、唯一まともで優秀なお方が檜扇柊護様。)

柊護坊ちゃまは、とうの昔に、祖父母と両親への期待を諦めている。

いや、最初から奴らに期待している様子をお持ちではなかった。

若いうちから財界と財閥、名家との交流を持ち、良好な関係を築いてきた。

築いてはいるが・・・名だたる大物たちから信頼されることはない。

うわべだけ、友好に接せられるだけで、心からの信用を得ることが出来ない。



(原因はすべて、悪行を続ける柊護坊ちゃまの祖父母と両親のせい・・・!!)



そのことは、当然、皇室にも――――――――天皇家にも伝わっている。





(天皇陛下は、姪の夫の素行の悪さを理由に、こんにちまで謁見を許可してこなかったが、柊護様なら、天皇陛下のお役に立てる人材であることは間違いがない。)





それなのに―――――――





(檜扇湖亀、達比古、二三人、未子の悪行のしりぬぐいをするせいで、柊護様まで上流階級から嫌煙され、不評を買う始末。許しがたいぞ、檜扇湖亀、達比古。二三人、未子の4人組め・・・!!)










自分が使える若い主が正当に評価されないことに、高齢の部下は悔しさでこぶしを握り締める。








(それでも――――――――いつかきっと報われて、柊護坊ちゃまだけは、天皇陛下に謁見できる・・・!!)








そう信じてやまないじいやは、さっそうと歩く若い主の後をついて行く。










「柊護坊ちゃま、この成島太郎、どこまでもお供致しますぞ。」
「定年まででいい。自分の時間を大事にしろ。」
「なんとおっしゃっても、おそばを離れません。」
「・・・好きにしろ。」










自分の意見を否定されなかったことで、嬉しそうに微笑む老紳士。

これからも柊護坊ちゃまを支えていこうと・・・成島太郎は強く心に誓うのであった。