「殴るか?」
「えっ!?」
「俺を殴っていいぞ。」
「な!?」
「社長!?」
「坊ちゃま!?」
この言葉には、私だけでなく、ヘルメットマンさんの秘書とじいやもギョッとする。
しかし発言した本人は、淡々とした口調で話す。
「好きにしていいぜ?お前には、その権利が与えられた。」
「なっ・・・!」
なんて言い方なの・・・!?
「そんなこと!!出来るわけないじゃないですか!?」
「なぜできないと決めつける?ヤンキーは、殴るか、蹴るかでしか、怒りを発散出来ない生き物だろう?」
「偏見が過ぎますよ!!」
「統計学的に言えば、正論だろう?お前はちと、特殊かもしれねぇーけど・・・クズには変わりない。」
「なっ!?」
真顔で侮辱してくる相手に怒りがこみ上げる。
ふと、檜扇柊護の執務机の上の物が目に入る。
(あれは・・・書類に、物差しに、鉛筆・・・・ペーパーナイフ・・・・)
ペーパーナイフ・・・
(この中で、一番凶器になりそうなのは、ペーパーナイフ・・・)
手紙の封を切る物に、目が釘付けになる。
「俺の仕事机が気になるか?」
そう言いながら、ゆっくりと移動する檜扇柊護。
執務机を通過して、その背後の・・・ガラス張りになっている壁へと向かって立ち止まる。
そこからは、外の景色がよく見えて、外は電気の光で色づき始めていた。
「刺せよ。」
背を向けたまま檜扇柊護言う。
「ここには、看護師も医者も常勤してる。事件にする気もねぇ。それが俺のけじめだ。」
「なに言ってるんですか・・・・?」
「お前みたいな小僧に、新旧龍星軍に、借りを作るのはまっぴらだからな。」
「なにを、いっているのですか・・・!?」
「テメーも瑞希同様、行きずりの女が産んだガキだったって話だ!!」
「・・・・・・・きさまぁ――――――――――――!!!?」
私はともかく、瑞希お兄ちゃんの悪口を言うのは許さない!!!
我慢できなくて、机の上の武器を掴む。
「瑞希お兄ちゃんの悪口を言うなっ!!!!」
完全に誘導された。
刺すように仕向けられたとわかった。
ガラスに映る男が笑ってる。
瑞希お兄ちゃんに似た顔の男。
「うあああああああああああ!!」
突きさした。
思いっきり刺した。
ブスッ!
「うっ!?」
相手の声が漏れる。


