彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「時間がないから手短に言う。凛道蓮君に大事な話があってきた。中に入って話してもいいね?」
「ダメです。」
「じゃあ、真田瑞希の写真を返しなさい。」
「じゃあ、ここで話をうかがいます。」
「ここで話す!?店の入り口じゃないか!?大事な話を立ち話でしろというのかね!?」
「ここは、真田瑞希様のお店ですので、真田瑞希様が不在の時は、知らない人を入れてはいけない決まりになってます。ましてや、ここにいるのは未成年のみです。子供だけしかいない時に、知らない大人を入れるなと学校で習いませんでしたか?」
「うっ・・・わかった!じゃあ、やり方を変えよう!場所を変えて話さないか!?」
「お断りします。」
「じゃあ、写真を返してもらおうかな。」
「返します。」
「え!!?」





驚く相手に、丁寧に瑞希お兄ちゃんの写真を渡す。





(瑞希お兄ちゃんの写真は惜しいけど、雷太という後輩がいる以上、年下の子を守るのが年上の務め!しかも、総長の訪問者なんて非常識でしかない!)

「今後、人様の家を訪ねる時は、午前10時を過ぎてからにして下さい。さようなら。」
「あー!!?待って!待って!待ってっ!!これ見て、これ!!」





そう言って、背広のポケットから口ひげがまた何か取り出す。
ほぼ閉まりかけた戸の隙間から、目だけで見てみる。
衝撃を受けた。







「瑞希お兄ちゃん!!!?」







それも、初めてあった頃の瑞希お兄ちゃんの水着姿だった。
思わず閉じかけた戸を開ければ、相手は写真を私に差し出しながら言った。






「この写真は、凛道蓮君にプレゼントしよう。」
「い、いいのですか!?」
「ダメっすよ、凛先輩!!?怪しい人からは、真田さんの写真もらうとか、危険すよ!?」
「うははは!ちゅーか、なんで瑞希はんのプライベート写真を、おっさん持ってるねん!?瑞希はんのストーカ~!?」
「は!?言われてみれば、ヤマトの言う通りだ!!」






関西男子の指摘で、我に返る私。






「危うく、ストーカー野郎にまるめこまれるところだった!!買収されるところだった!!」






未練はあったが、再度、写真を口ひげ男に押し付けながら言った。