彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「凛道蓮!!?」
「呼び捨てにすんなジジイ!!」





名前を呼ぶのと、雷太がその呼び方を注意したのは同時だった。
とりあえず、私の名前を呼んだ人物をみえる。
いたのは、ブランド品に身を包んだ体格の良い男。
ロマンスグレーで、口ひげを生やした短髪の男性だった。
私と目があえば、口ひげ男は嬉しそうな顔で言った。





「やっと会えた!!凛道蓮君だね!?」
「どちら様ですか?」





威嚇する雷太を背後に隠しつつ、念のため聞いてみる。
すると相手は、そわそわしながら言った。





「ああ、その声!!間違いなく、凛道蓮君だ!!」


(こっちの質問に答える気はないのかよ。)


「テメー!!凛先輩の質問にはシカトかよ!?」
「雷太、いいから、いいから!中に入ろう。」





口ひげに突っかかろうとする雷太を制し、お店の出入り口を閉めようとした時だった。





「待ってくれ!!」

バン!

「あ!?」





ドアを閉められないように、口ひげが自分の足をねじ込んできた。
そこで私は―――――――――――――





「よいしょ、よいしょ。」

ギチギチギチ!

「ぎゃああああああ!?痛い、痛い!足がちぎれるぅ!!」





つっかえ棒をしている足にかまわず、力を込めてドアを閉めた。





〔★凛は、情け容赦なしを発動した★〕





「凛先輩!!敵の足が挟まったままですよ!?」
「そうだよ。こうなるとわかってて、足突っ込んでくる方が悪いんだ。」
「ちょ、痛い痛い!!ドアを閉めるのをやめてくれー!!」
「あなたが足を引き抜けばいいだけでしょう?」
「密着しすぎて、引き抜けないんだって!!」
「根性で足をねじ込んできたのですから、根性で引き抜いて下さい。」
「し、塩対応―!!!」
「さすが凛先輩!!かっけー!!」





とはいえ、この隙間だと、確かな死を自力で引き抜くのは無理かな~
ちょっとだけ空間を広げてあげて、足を引き抜かせてあげようかな?
そう考えていれば、痛いと言いながら口ひげの男は動いた。