「あんた誰だよ?」
「私は、新しく檜扇湖亀さんの主治医になった『乃万敏』と申します。」
「山口はどうした?」
イヤミを込めて瑞希お兄ちゃんが言えば、相手は苦笑いしながら答えた。
「ああ・・・彼はクビになりました。」
「そうだろうな!!元皇族様を裏切れば、今度こそ人生終わりかー!?刑務所にでも転勤になったかぁ~!?」
「わかってるなら聞くな。」
口をはさんできたのは、檜扇達比古。
不機嫌そうな表情で言葉を発する。
「乃万、雑談はいいから、要点だけ伝えろ!!」
「は、はい!すみません!実はですね、真田さん、凛道さん、檜扇湖亀さんは―――――――解離性障害(かいりせいしょうがい)なんです!」
「かいりせいしょうがい・・・??」
「チッ!!そーかい、そーかい、記憶喪失ってことか!!」
「え!?記憶喪失のことを、そう呼ぶのですか、瑞希お兄ちゃん!?」
「そういうことだ、凛!!で!?「」さんよ、なんで解離性障害なんて病名がここで出てくるんだ!!?だいたいの想像はつくが、聞かせろや!!」
「はい・・・実は昨夜、檜扇湖亀さんは事件に巻き込まれまして、そのショックで現在は、昨日1日分の記憶が抜け落ちてしまっているのです。」
「え!?昨日のこと、覚えてないんですか!!?」
「そうなのよ~お義母様は繊細なお方だから♪」
「すごく怖い思いを妻はしたからのぉ~代われるものなら、代わってやりたい!」
「みんな・・・ありがとう。優しいのね・・・!」
(う、うそくせー・・・!!)
そんな思いで瑞希お兄ちゃんを見れば、私の耳元に顔を寄せながら仰った。
「騙されるなよ、凛。昨日の出来事をなかったことにして、俺らに何かしらの交渉を持ち掛けてくる作戦だ。ババアは昨日のことは、間違いなく忘れちゃいねぇ。覚えてるぞ。」
「え!?汚い・・・。」
(つまりあれなの?詐病なの?山口がしたように、この乃万って医者も、詐病診断したの?)
疑いのまなざしを医者に向ければ、にっこりとほほ笑み返される。
それも、まったく笑っていない目で。
(最悪だ!!!)
これは油断すると、瑞希お兄ちゃんを殺される!!
〔★凛の警戒心がupした★〕


