彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




「凛先輩!!俺に3杯も出して下さるんすか!?」
「いや、僕とヤマトの分だよ。飲みたくなったから。」
「失礼しました!!俺、とんでもなく卑しいこと言いました!!」
「卑しくないよ!勘違いさせた僕が悪いから、気にしないで。あと、コーラもお代わりあるから、飲んでいいからね?」
「ありがとうございます、凛先輩!!マジ神対応っすね!!惚れ直しました!!」
「ありがとうー」



クスっと笑えば、えへへ♪嬉しそうな顔をする雷太。
私のどこが気に入ったのか知らないけど、人に好かれるのは何とも照れ臭い。
そんな思いで、グラスに均等にコーラを注いでいれば、表の出入り口から音がした。





ドンドンドン!!

「あん!?」
「誰だろう?」





ブラインドが下りたお店の正面入り口を、誰かが強い力でノックしている。



「こんな朝早くから、開店するわけないのに。そもそも、closeの看板出してるから、閉店だってわからないのかなぁ~?」
「あ!?いいっす!凛先輩!」



コーラを注ぐ手を止めようとすれば、それに雷太が待ったをかける。





「俺が出ます!」
「雷太が?」
「営業時間外だって言って追い返します!非常識ですからね!」
「非常識・・・だよね。」

(そうよね・・・雷太に対応させるのは、お店的にも接客的にもよくないけど、非常識な客が減るなら、それでもいいかな。)





そう思ったので雷太に言った。





「非常識そうな人だから、無理に頑張らなくていいから、こいつダメだと思ったら僕を呼んでくださいね?」
「押忍!!わかりました!!」





それで意気揚々と、お店の出入り口のカギを開ける雷太。





「朝っぱらから誰だコラ!?営業時間外にもほどがある!!closeの文字が見えねぇのか!?」


(任せてよかったかな・・・?)





ケンカ腰で言う雷太の声を聞き、若干不安になる私。