彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




「そ、そうっすか!そうっすよね・・・俺下っ端だもんな・・・」
「そこまで落ち込むほど!?」
「落ち込みますよ!」



ズーンと沈み込む雷太に聞けば、ガバッと顔を上げて即答された。





「俺、凛先輩が大好きなんですから!!少しでも早く食べたいじゃないですか!?」
「あ、そういう気持ち、わかるかも。」

(私も瑞希お兄ちゃんのコーヒー飲ませてもらうなら、一番最初に飲みたいもん。)

「本当っすか!?嬉しいっすー!」

ガシ!

「わ!?」





そう言うなり、私を抱きしめてくる中学生。
大型犬にじゃれられてるみたいで、踏ん張るために両足に力がこもる。





「凛先輩!真田さんは!?」
「瑞希お兄ちゃんなら仕事に出かけたよ。」
「え!?マジっすか!?じゃ、じゃあ!俺と凛先輩、2人ッきりなんすね!?」
「ざーんねーん!わしもおるでー!うははは!」
「うおわぁあああ!?」
「わっ!?」





トイレから帰ってきたヤマトが、背後から雷太の耳元でささやく。
途端に、私抱きしめたまま、その場にジャンプする雷太。




「お、おおお、お前は五十嵐、さん!?なんでいるんだ!?」
「うははは!金欠やさかい、朝メシ食いに来たねん!」
「なんで来るんだよぉおぉぉ!?凛先輩とツーショットだったのによぉおぉ!!?」
「雷太、雷太!苦しいから、離して!」
「うははは!自分、大事な先輩つぶしとるでー!?」
「うわあああああ!?す、すんませんでした!凛先輩!!」




それでやっと、私から身体を離してくれる中学生。