彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




見えなくなるまで、瑞希お兄ちゃんに手を振り続けた。





(知らない人から見れば、新婚カップルに見えるのかなぁ~♪)





甘い思いを抱いていれば、大音量で現実に引き戻された。



キュォオオオオン!!

「うははは!凛!!おはようちゃーん!」
「わっ!?お、おはよう、ヤマト!今日はすごく早いね!?」



瑞希お兄ちゃんをお見送りしたのと入れ替わる形で、ヤマトがフェリチータにやってきた。



「うははは!そりゃあ、急いでとんでくるわ!頑張って早起きもするわ!」



開けたままのシャッターから、ガレージの中にGSX1300Rハヤブサを入れるヤマト。



「なにかあったの?」
「うははは!ないねん!金欠で朝メシ食べてないねん!ご飯食べさせてー!」
「ご飯の催促(さいそく)に来たのですか!?」



〔★計画的に食べに来ていた★〕



「うははは!あかんか!?瑞希はんらがおらんと、食わせてもいらえん感じかいな!?」
「なんで瑞希お兄ちゃんがいないとわかったの?」
「うははは!ガレージガラガラで、ボードに出かけてますの書き込みしてあるやん!? 」
「目がいいね!?」
「うははは!視力、3.5やねん!」



ヤマトがそう言った時、グウ~!という悲壮な音がした。





「うはははは!凛~!!わしこのままやと、飢え死にしてしまうぅ~!!」
「・・・瑞希お兄ちゃんには事後報告します。一緒に朝ごはん食べましょう。」

(ヤマトはほっとけない。いつも助けてくれるヤマトを見捨てられない。)

「うははは!ほんまか凛!?おおきに!!ありがと―――――――――!!」





歓喜の声を上げると、ガバッと抱き着いてくる関西男子。



「重い、重い。」
「うははは!凛は、ぬくい、ぬくい!」
「いいから離れて下さい!!ちゃんと単車止めて下さいよ!?」
「うはははーい!わかっとる、わかっとる!」



ヤマトがガレージに単車と一緒に入ったところで、シャッターをしっかりと閉めてカギをかける。
そして、ガレージと店舗兼食卓につながる場所へと2人で進んだ。