彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「ごちそうさま♪」
「お粗末さまでしたー♪」




食べ終わった食器を、流し台まで持ってきて下さる瑞希お兄ちゃん。
当たり前のことだけど、これができない人多いよね。
食器を私が洗い、洗い終わった食器を瑞希お兄ちゃんが吹いて棚に戻す。
その作業が終わるころには、ちょうどいい出勤時間になっている。




「瑞希お兄ちゃん、お弁当とほうじ茶です♪」
「ありがとな、凛。」
「ガレージまで僕が持ちます。」
「いつも悪いな。」




速足で、並びながらガレージに進む私達。
ガレージにつけば、4人分の単車と車がなくなっていた。
本当に、瑞希お兄ちゃんよりも先に出かけたらしい。
設置されているボードに、瑞希お兄ちゃんが仕事と書き込む。
その間に、シャッターを開けて単車が出やすいようにする。
外から、冷たい風が中に入ってくる。




「瑞希お兄ちゃん、ホッカイロ持ちましたか?」
「室内での接客だから、いらねぇーよ。気にしてくれて、ありがとな?」




そう言って、頭をよしよしされてテンションが上がる。
真紅のインパルスに荷物を積むと、エンジンをかける瑞希お兄ちゃん。




ブロロロロロン!ブローン!!

「じゃあ、行ってくる、凛!」
「いってらっしゃい、瑞希お兄ちゃん!」




ギュッとハグしあい、互いの身体が離れた時、深紅の単車は動き始めていた。
左右の安全を確認すると、バイクは外へと飛び出した。




ブローン!!ブローン!!ブロロロロロン!

「お気をつけて~!」




ガレージから出て両手を振れば、前を向いたまま肩手を振ってくれる好きな人。
こうして、朝のお見送りが完了した。