呆れる私をよそに、頬を染めながら生き生きと元皇族は語る。
「私がいかに夫に愛され、お義母さまに信用されているかを!!」
「?夫からの愛を語るのに、その母親の存在は必要ですか?」
「ホホホ!!ガキにはわからないでしょうけど、私たち家族の、檜扇家のきずなは固くて強いの!!お嫁にきてから、私は檜扇家の秘密を知ることで、正式に認められたのよ!!」
「秘密?」
まさか―――――――
「ホルマリン漬けの赤ん坊のことですか?」
「はあっ!?」
それで一瞬、檜扇未子の表情がゆがむが、
「檜扇辰也が余計なことを言ったのね!!?」
「・・・マジですか・・・本当に我が子を、ホルマリン漬けにして、嫁入りの道具に使っていたとは・・・信じられませんね。」
「何言ってるの!?子供は親のために役立つ『物』よ!!また作ればいいじゃない!!現に、二三人君が産まれたんだから!!」
「一歩間違えば、二三人さんがホルマリン漬けにされていたかもしれませんよ?」
「うるさい!!屁理屈言うな!!」
「で?可愛いそうな赤ん坊のホルマリン漬けの話が、冥土の土産ですか?」
「うるさいうるさい!!もう教えない!!」
「それは安心しました。冥土に行かなくてよさそうなので。」
「なんて可愛げがないの!!?あんたなんて、一生真実の愛を知ることはできないんだから!!私達みたいに、生きていくために必要な愛を得ることはできないんだから!!」
「・・・それほど、檜扇家の秘密は、あなた方夫婦にと言って、なくてはならないものということですか?」
「そうよ!!夫婦の愛の証として、夫が教えてくれた愛情を示す物語よ!!だから、どれだけ二三人君が女遊びをしようが、愛人を作ろうが、心配する必要はないの!!だって、秘密を共有する私が一番愛されてるのだもの!!」
(どんな秘密なんだ・・・。)
檜扇未子の反応を見る限り、私がホルマリン漬けの赤ん坊の話を知っていたのは想定外だったのだろう。


