「本当に、恋人みたいなブラコンぶりねぇ~」
「うるせぇ!」
ギロッと瑞希お兄ちゃんが正妻をにらむが、相手は肩をすくめるだけだった。
無神経なだけじゃなく、図太いんだと思う。
(とりあえず、逃げ道を確保しないと~・・・)
そう思って、瑞希お兄ちゃんにくっついた状態であたりを見渡して気づく。
「あれ?ここ、湖亀さんが入院してる病院ですか?」
「そうよ。」
答えたのは檜扇未子。
「千葉総合医療病院は、凛道蓮と真田瑞希がお義母様に会う時だけに使うように、私が用意させた私が管理する病院よ。」
「え!!?檜扇未子の病院!?」
「おい、凛道蓮!!未子様を呼び捨てにするな!さん付けをして呼ぶぐらいの教養はないのか!?ん!?」
「いや、拳銃突き付けて、友達や先輩を人質にして無理やり連れて来た人を、さん付けしろという方が無理なのですか?」
「つーか、呼び捨てで十分だよ、金魚のフンの山口が!!」
「なんだとおかまやろう!!」
「な!?瑞希お兄ちゃんを侮辱するな!?」
「安心しろ、凛!人間にカウントしてないゴキブリに何言われても、こっちは気にしねぇー!」
「なんて生意気なんだ貴様!!検査では、思いっきり痛くしてやるからな!!?」
「ダメよ!!!」
歪んだ顔で宣言した山口の言葉を、正妻がダメ押しした。
「何度言ったらわかるの、山口!!大事な臓器に傷をつけようなんて、正気なの!?」
「ですが、若奥様!!」
「『宮内庁』をリストラされたあなたを拾ってあげたのは誰?恩を仇で返す気?」
(宮内庁!?)
檜扇未子の言葉にギョッとする。
(くないちょうって・・・・・あの『宮内庁』じゃないよね・・・!!?)
「め、滅相もございません!!申し訳ありませんでした!!2人の臓器は丁重に扱います。」
「わかればいいのよ。」
昔のガラケーみたいな姿勢で頭を下げる山口に、うんざりした顔でため息をつく正妻。
私は、その顔から視線を逸らせずにいた。
(くないちょう・・・クナイチョウ・・・いや・・・くないちょうという名前の会社かもしれない・・・そんなわけは―――――――)
そう考えていた私の目と、檜扇未子の目が合う。
正妻は、ふんわりと笑うと私に声をかけた。


