彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




どれぐらい走ったかわからない。
車内は静まり返っており、誰も口を開く気配がない。
時折、ナビの音がするだけで、それ以外はわからない。
ただ、私の手を握っている瑞希お兄ちゃんのぬくもりで、瑞希お兄ちゃんの生存だけは確実に確認ができた。





「もう着くわよ。」





ふいに、檜扇未子が声を出した。
それで車が止まり、つないでいた私と瑞希お兄ちゃんの手が引き離される。







「凛!!」
「瑞希お兄ちゃん!!」

「大丈夫よ。引き離したりしないから。むしろ、一緒に行動させなきゃ困るから。」







そんな正妻の声を聞きながら、車から降ろされた。
両腕を掴まれ、誘導されながら歩かされる。







「瑞希お兄ちゃん、いますか!?」
「ああ!凛も側にいるか!?大丈夫か!?」
「はい!」







何かの建物に入るような感覚がし、あゆみを強引に止められた。







チーン!

(!?エレベーターの音!?)

「瑞希お兄ちゃん、僕の近くにいますか!?」
「ああ!声の距離からして、隣にいると思う!」
「さっきからうるさいわよ!隣同士にしてあげてるんだから、安心しなさい!」
「ざけんな!!体の自由を奪ったやつの言うこと、信用できるか!?ここか、凛!?」







ふいに、瑞希お兄ちゃんの手が肩に当たる。








「あ!そこです!瑞希お兄ちゃん!!」








反射的に腕を上げて、肩にある瑞希お兄ちゃんの手を握る。
手をつなぐ私達。








「調査以上のブラコンぶりね・・・・・まあいいわ。そのまま、おててつながせたままにしておいてあげる。騒がれるよりましだからね。」

チーン!








檜扇未子があきれる声と、機械的な音が重なる。
予想通り、私と瑞希お兄ちゃんはエレベーターに乗せられる。
重力のかかり方からして、上に向かっていると感じる私。








(どこへ連れて行く気なの・・・!?)








実戦空手を習得してるとはいえ、相手は拳銃を持っている。








(どうやって対抗するべきか・・・!)

チーン!








考え込んでいたら、エレベーターが止まる音がした。
瑞希お兄ちゃんと手をつないでいる状態で、抱え込まれるようにしてエレベーターから降ろされる。








グイ!

「わ!?」
「くっ!?」








エレベーターを降りたところで目隠しを取られる。
まぶしい光で、視界が開けた。