彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)








「やっぱりそうですよね?そうじゃなきゃ、炭化状態にならないですよね?」
「日航機墜落事故の遺体と同じ状況ってことかよ。」
「瑞希お兄ちゃん、それよりひどいんじゃないですか?炭化状態ですよ?焼身遺体を、もう一度焼いたと言われるぐらいの状態じゃないと――――――よく原形をとどめていましたね、鳥恒先生のご両親のご遺体・・・」
「ああ、おかげで火葬することなく埋葬できたよ!!」
「凛、注目する点はそこじゃねぇーぞ!つまり、鳥恒さんのご両親は、ガソリンをかぶって火をつける作業を4回も続けたことになる。物理的に不可能なことをして心中したことになる。」
「あ!?そうですよね!?てか、それって心中になりませんよね!?あきらかに、他殺じゃないですか!!?」
「そうなんだよ凛道蓮君!!それなのに警察は、心中自殺で捜査を強制的に打ち切った!!」
「おかしいですよ!!間違ってる!!」
「ああ、明らかに、どっかから圧力かかったみてぇな幕引きだぜ・・・!」
「圧力をかけたのは、達比古・・・・・ではなく、いつの間にか財界・政界で権力を持っていた湖亀だった!!おばあ様から直接お聞きしたわけじゃないが、これ以上の犠牲者を出すのを避けるために、達比古を檜扇家の当主と認める代わりに、わしを連れて実家に帰られた。檜扇家を、犯罪者に引き渡す選択をしたのだよ・・・!!」
「なぜ、戦わなかったのですか!?」
「わからん!!ただ、おばあ様はわしに、『逃げるが勝ちだ』とだけおっしゃった。」
「逃げるが勝ち、ね・・・。良いこと言うじゃねぇか、女豪傑は。」
「ちなみに、味方して下さった刑事さんはどうなったのですか?」
「左遷されたよ。だけどあの人、最後にいい仕事してくれた。」
「え!?左遷されたのに、いい仕事??」
「そうだよ、凛道蓮君!!あの人、あの方は――――――保険屋に乗り込んで、檜扇夫妻の遺体がいかに不審死だったか熱弁してくれた。湖亀はいつの間にか、わしの両親の生命保険の受取人になっていたんだが、刑事さんから話を聞いた保険屋が保険金を出し渋ってな!!生命保険がおりるのに、7年もあの女に無駄金を遣わせて争わせることが出来たわい!!」
「そうだったんですか!?スカッとしま―――――――え!?けっきょく、払われたのですか!?」
「ああ、胸糞悪いがな!!」







〔★悪人は大金を手に入れていた★〕