彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)








「周囲の招待客達は竜憲兄上を責めた。渕上財閥の当主は――――――渕上氏は、強い口調で竜憲兄上に飲むように命じた!!実父である父上さえも飲めと言う始末!!竜憲兄上は、それでも飲まなかった!!それなのに渕上はあんなことを――――――――!!」
「あんなこと?」
「あんなことって、どんなことがあったんすか?」
「わし達が見ている前で、飲み物をあの女から2人分受け取ると、自分の飲む分と竜憲兄上が飲む分を交換したんじゃ!!『これで問題はないだろう、竜憲君飲め!』と!!」
「え!?毒が入ってるかもしれない飲み物を、自分の分と交換したんですか!?」
「そこまでやれちまうと、立場上、飲まねぇわけにはいかねぇな・・・。」
「真田瑞希君の言う通りじゃ。竜憲兄上は、無表情でそれを受け取ると、コーヒーカップに口づけた。しかし、一度口を放すと、『私はだれも差別などしていない。ウソというものはいずれ暴かれる。悪事を暴くためなら、私は何度でもよみがえろう。』と仰った。」
「それ・・・・・・・遺言みたいじゃないですか・・・・・・・・・!?」
「・・・・そう仰った後、『辰也、そろそろ休みなさい。』とわしに向かって優しく微笑まれた。温かい笑顔を見せたのじゃよ。その笑みで、竜憲兄上に対して険悪だった会場のムードが柔らかくなった。和む空気になった!!渕上氏が、『無理に飲まなくてもいいぞ。』とまで、意見を変えたほどにだ。それなのに!!渕上氏の飲まなくていいと言い終わったのに合わせ、湖亀が声を漏らして泣きやがったんだ!!それで『やっぱり差別をしてない証として飲んだ方がいい』と渕上氏は言いやがって――――――――――――竜憲兄上はコーヒーを全部飲まされたんだ!!!」







そう言って鳥恒先生は、ううー!!と、うめくと、両目から涙を流しながら言った。