「それがしなかった。最初の夫の件で浪費家であるのがバレていたから、最初はおとなしくしていた。」
「つまり、だんだんと本性を見せたってことすか?」
「正解だ、真田瑞希君。」
「さすがです!瑞希お兄ちゃん!」
「さすがもなにも凛、常識だぜ?覚えとけよ?」
そう仰る瑞希お兄ちゃんに頭をなでられる。
それで幸せな気持ちになったけど、聞かされる話は幸せなものではなかった。
「竜憲兄上は、常に達比古とあの女を注意していたが、父上が味方に付くので効果がなかった。」
「えっ!?なんでお父様は、正しい人を、龍憲さんの味方にならなかったのですか?」
「それもわからない。ただ・・・手元で育ててないのが関係しているとは思っている・・・。」
「どういうことですか??」
「竜憲兄上は―――――将来の檜扇家の当主となるべく、おじい様から帝王学を学ぶべく、両親とは距離を置いて育てられた。教育係をつけ、幼い時から人前に出しても恥ずかしくないように育てられた。一方の達比古は、当主になる資格がないということで、両親に甘やかされて育てられた。両親のしつけ方が良くないとおじい様は判断され、わしも両親とは距離を置いて育てられた。わしは、両親と引き離されて育てられてよかったと今でもおじい様に感謝している。」
「そんな事情があったのですか・・・」
「しっかりした祖父さんすね。普通は、孫を甘やかしがちになるのに。」
〔★凛のおじい様への好感度が上がった★〕
「達比古達に別館を与えたのは、おばあ様の希望でもあった。敷地内は許せても、屋敷の中まで一緒ということに耐えられなかった。そんなおばあ様の機嫌を取りたいのか、食事時には必ずあの女は、頼んでもないのにわしらの屋敷の厨房に『食事の手伝いに来た。』と言って入ってくるようになった。無論、来るたびに、おばあ様の命令を受けていた女中頭が追い返した。料理人達も追い払ったが、あの女はしつこく手伝いにやって来た。だからわしは、確信している。」
「なにをですか?」
「あの女が、竜憲兄上の飲食物に毒を混ぜて、竜憲兄上を殺したということだっ!!!」
「え!?」
「あの女と達比古が、わしの竜憲兄上を殺しやがったんだっ!!!」
鳥恒先生の爆弾発言で、再び空気が凍り付く。
みんなが怖い顔で動かない中、私は意を決して質問をした。


