「わかってるじゃないか、凛道蓮君!」
「恐縮です。まあ、自白するあたり、まだマシなのかと思―――――――」
「自白じゃない。」
「え?」
「自分で白状したんじゃない!最初の夫の兄弟が、部落者であるという事実をつかんだんだ!」
「ええ!?どういうことですか!?」
「結婚するということは、親族同士での顔合わせも必要になる。最初の夫の両親はすでに亡くなっていたので、夫の妹が湖亀の両親の実家に手土産を持ってあいさつに出向いたんだ。」
「それでバレたのですか?」
「2重のウソがな!!」
「2重のウソ??」
「湖亀は部落者だと隠すために、よりによって『自分は呉服屋の娘』と、最初の夫の兄弟にあいさつした時に名乗っていた!それも由緒正しく評判の良い『遠方の』呉服屋だ!!」
「ええ!?そんな嘘までついたのですか!?」
「ついたぞ!!あいさつに言った妹さんは呉服屋の当主から、『うちには、そんな子供はいない。息子はいても娘はいない。』と言われ、その話を聞いて妹さんは驚き、当主の奥さんは激怒した。」
「そりゃあ、ウソに利用されれば、呉服屋の奥さんじゃなくても怒りますよね。」
「違う違う!呉服屋の奥さんが怒った相手は、自分の夫だ!」
「えっ!?なんで??」
意味が分からず鳥恒先生に聞き返せば、仏に使えるお人は呆れ切った顔で教えてくれた。
「最初の夫の妹さんは、夫婦できちんと正装をして、高価な手土産を持参してあいさつに行った。身なりがあまりにもしっかりし過ぎていたから、『夫に隠し子がいる!?』と勘違いしたんだ!」
「あっ!?そういうことでしたか!?」
「そういうことだ!おかげで、妹さん夫婦は事情がわからないまま、呉服屋夫婦の夫婦ケンカに巻き込まれ、危うく警察を呼ばれそうになるほど大ごとになったんだよ!」
「警察を呼んだところで、警察は中立の立場しかとらないので、呼んでも呼ばなくても意味ないんじゃないですか?」
「今はそうだが、昔の警察は違う!身分のある方に味方をした!だからあいさつに行った夫の兄弟はひどい目にあった!!」
「僕、令和に生まれてよかったです。」
〔★凛は、自分が生まれた時代に感謝した★〕


