彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




私は瑞希お兄ちゃん達と共に、混乱する病室を出て、病院から撤収し、Felicita(フェリチータ)へ帰還した。
店舗兼住居の店舗スペースに、病室にいた私達側の関係者が集まる。
店舗スペースに入るなり、瑞希お兄ちゃんは私に言った。







「凛、怖い思いをさせて悪かった。」
「え?」
「『出て行け』と言った言葉を取り消す。ずっと俺と一緒にいてくれ。」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」







好きな人からの思いがけない言葉に、戸惑いと嬉しさで胸がいっぱいになる。








「います!ずっと、瑞希お兄ちゃんと一緒にいます!!」
「凛。」








そう言って抱き着けば、背中に両手を回して抱きしめてくれた。
長い間・・・数日の間だけど、瑞希お兄ちゃんと会っていなかった。
1日会えないだけでも狂おしいのに、数日も会えなかった。
真田瑞希様シンドロームになりかけていただけに、こうやって抱きしめられると、今までの不安とさみしさが吹き飛んだ。







「本当に仲の良い兄弟なんだね。」







その言葉で、私と瑞希お兄ちゃんの抱擁は終わる。







「鳥恒先生。」







柔道の先生が、私達を優しい目で見ていた。
これに瑞希お兄ちゃんが言った。








「・・・あなたが、檜扇家の三男の檜扇辰也(ひおうぎ たつや)さん、ですね?」
「それは捨てた名前だ。今は、鳥恒光憲(とりつね みつのり)と名乗っている。」
「瑞希お兄ちゃん、鳥恒先生とは―――――――」
「・・・鳥恒先生とは、初対面だ。」
「わしも、真田瑞希君とは初見だ。」
「そ、そうですか。」
「はじめまして、鳥恒さん。弟を・・・凛を救って下さって、ありがとうございました。真田瑞希と言います。」
「人として、当然のことをしたまでだ。こちらこそ、はじめして。鳥恒光憲です。」








双方、穏やかな口調であいさつを交わし、会釈をしあう瑞希お兄ちゃんと鳥恒先生。
そこで私は、疑問に感じたことを瑞希お兄ちゃんに聞いた。







「瑞希お兄ちゃん、どうして僕が千葉総合医療病院にいることがわかったのですか?」
「それは――――――――」







瑞希お兄ちゃんが、お言葉を発しかけた時だった。