「雷太!ホッカイロ貼ってあげるよ!」
「え!?り、凛先輩!?」
雷太の腕の中で、ホッカイロを開封して、貼れるようにする。
そして、片手を雷太の背中から離し、雷太が来ているジャンバーの中に突っ込む。
「うわ!?」
「え!?冷たい!?」
(服の中まで冷たい!?)
「本当に、待ってた時間は1時間だったの!?」
「・・・。」
私の問いに、そっぽを向いて答えない雷太。
(絶対に1時間じゃないな、これは!!)
そう思いながら、背中にホッカイロを貼る。
バシ!
「いて!?」
「温めなきゃ!とりあえず、ほら!貼らないタイプのホッカイロ持って!」
私が使っている分を差し出すが―――――――――
「それは凛先輩のもんス。」
「はあ?ホッカイロ貼ってあげたのに、今更でしょう!?」
「だからっす!これ以上、もらえないっす!!」
断固として受け取らない中学生。
仕方がないので、実力行使に出た。
「いいから、受け取れ!」
背伸びして、片手に持ったホッカイロを、雷太の片方のほっぺに押し付ける。
ボフ!
「うっ!?」
それで険しかった雷太の表情が緩む。
「あったけー・・・」
フニャンとした顔で、前かがみになる雷太。
そこで私は、開いている手でホッカイロを持って、雷太のもう片方のほっぺたに押し付けた。
「うわーマジあったけー♪」
「11月の寒さ、なめたらだめだぞ?」
「うっす・・・!」
嬉しそうに言うと、ギュッと私を抱き寄せる雷太。
背伸びしなくても、良い距離までかがんでくれるので、雷太のほっぺを温めやすい。
「・・・ホッカイロもだけど、凛先輩もあったけー・・・」
「完全防備してるからね?」
そう伝えれば、雷太が目を閉じる。
そして、私を抱きしめる力を再び強める。
「雷太?どうしたの?早くお店に入ろうよ!」
「俺、ずっとこのまんまがいいな・・・」
「え?」
「俺ずっと、凛先輩と――――――――――――!!」
「凛!!!」
雷太の言葉を、あのお方の声がかき消した。
「凛!!中坊と、店の前でなにやってんだ!!?」
「瑞希お兄ちゃん!!」
声のした方を見れば、目を見開いた瑞希お兄ちゃんが立っていた。
いたのは、瑞希お兄ちゃんだけではない。


