「舟槙(しゅうま)さん、僕は、凛道蓮は、檜扇二三人の息子でもなければ、檜扇湖亀さんの孫でもない、あなた方と血縁関係にない赤の他人です。」
真剣に伝える私に対して、電話の相手は―――――――――
〈蓮クン、そんなの関係ねぇー!!だよ!!〉
小島よしおのギャグみたいなことを言い出した。
〈俺にとって大事なのは、大伯母様が元気になって下さることだ!!蓮クンは、それを実現できてるんだよ!!力を貸してくれよ!!〉
「そう言われましても・・・」
〈瑞希君を連れてきてくれるのが、遅くなっても構わない!!今は、日常生活を普通に過ごせるだけの体調の回復を目指してるんだ!!『病(やまい)は気から』というように、蓮クンと会うことで大伯母様の気持ちが元気になってるんだよ!!それが続いていけば、いずれは身体も元気になってくれるはずじゃないかと、主治医も言ってるんだ!!お願いだ、蓮クン!!大伯母様のお見舞いに通って下さい!!〉
お医者さんの言葉まで出してきて、頼んでくる舟槙(しゅうま)さん。
〈お願いします、凛道蓮クン!!〉
「・・・。」
(どうしよう・・・。)
私の脳裏に、弱弱しく、泣いてばかりのおばあさんの姿が浮かぶ。
(思えば、おばあさんの泣いてる姿を見る方が多かった気がする・・・。)
泣かせてる原因は、口ひげ超エロ親父だけど。
〔★原因は老女の息子だ★〕
頭の中で考えを巡らせ、まとめた上で、舟槙(しゅうま)さんに言った。
「条件があります。」
〈何でも聞くよ!!〉
「連絡を取る際は、僕から連絡しますので、もうこの番号にかけてこないで下さい。必ず僕が、出る番号ではありませんので。」
〈え!?『慶良寺』が蓮クンのたまり場だから、いつもいるんじゃないの!?〉
「!?『慶良寺』と知って、かけてきたのですか!?」
〈そうだよ。それぐらい、調べがついてるからね。〉
「『調べがついてる』って!?」
〈あ!?〉
聞き返せば、ヤバいという感じの声を出す舟槙(しゅうま)さん。


