悪い夢を見たような出来事ばかりだったけど、すべて現実だ。
その証拠に、瑞希お兄ちゃんからプレゼントされたシルキロールには、飛沫のシミが出来ていた。
モニカちゃんに作ってもらったパンクロリータのブルーの服も、シルキロールと同じ模様が出来ている。
これというのも全部、あの男のせい。
(檜扇二三人・・・!!!)
「・・・最低のクソ男だ。」
不愉快な気分の私を乗せたエレベーターが止まる。
降りて、一般用のエレベーターに乗り換えながらスマホを見る。
「あ、ヤマトからスタンプきてる。」
『到着』のスタンプだったので、まさか・・・と思う。
病院内だったけど、確認のために、LINE画面を通話に切り替えてヤマトにかけた。
〈うははは!トラブルかー凛!?〉
「トラブル、ありましたね。そうじゃなくて!今どこですか?」
〈うははは!凛のおる千葉総合医療病院や!〉
「え!?ここに来てるの!?」
〈うははは!わしの第六感が危険を察知したんで、心配で来たねん!〉
「心配かけてごめん・・・」
〈うははは!えーねん、えーねん!今、トイレかなんかの隙間から電話かけてきてくれとんかいなー!?〉
「いや、帰ろうと思って・・・・・」
〈ナイスや!!ほな、正面玄関で落ち合おうや!うははは!〉
「・・・ありがとう。」
〈うははは!あとでなー!〉
病院内ということもあり、早々に電話を切る。
タイミングよくエレベーターは、ヤマトがいる地上につく。
スマホをポケットにしまい、病院の正面玄関へと向かう。
外に出て、その姿を見つけてホッとする。
「ヤマト!!」
「うははは!り―――――ん!!」
大柄なヤマトを見つけるのは、すごく簡単なことだった。
駆け寄れば、向こうも駆け寄ってきてくれた。
「うははは!不景気な顔してどないした!?嫌なことでも言われたかぁー!?」
「聞かされた、が、正しいです。」
「うはっはっはっ!ほな、愚痴も含めて話聞くわ!駐輪場に行こか!?」
「うん!」
ポンポンと肩を叩かれホッとする。
送迎でくる病院だったので、帰る方法について、何も考えずに飛び出していた私。
ヤマトのお迎えというありがたい出来事を、心から神様に感謝した。


