後悔しながら後ろに乗っていれば、不意にスピードが落ちていく。
「ヘルメットマンさん?」
名前を呼べば、ヘルメットマンさんが指さした。
(なに?)
指さす方を見て、息をのんだ。
「わあ~きれいな夜景!!」
集会で、ある程度の夜道は制覇してるけど、この景色は見たことがなかった。
(こんなきれいな場所があるなんて!!)
街の明かりが1枚の絵画のようになっていて、思わず見惚れてしまった。
「素敵ですね・・・!」
そんな私のつぶやきに合わせて、バイクがゆっくり止まる。
止まったバイクの後ろで、ゆっくりと絶景を見ることが出来た。
(瑞希お兄ちゃんは知ってるのかな・・・このキレイな夜景を♪)
今度聞いてみよう。
というか、画像に撮って見せよう!
「あ、あの!この夜景、撮ってもいいですか!?」
「・・・。」
何も言わなかったけど、拒絶の動きは見せなかったので撮ることにした。
カシャシャシャシャ!
「やった!うまく撮れた!撮れましたよ!ヘルメットマンさん!」
「・・・。」
ヘルメットマンさんの腕を引っ張り、スマホにおさめた画像を見せる。
これに、フルフェイスの顔をこちらに、スマホに向けてくれるヘルメットマンさん。
しかし、すぐに顔を元に――――――前へと向けてしまった。
不備があるという態度を取られなかったので、うまく撮れていると、相手が思ってくれたことにした。
そう考えた時、ある考えが私の中でわき起こった。
「もしかして・・・この夜景を見せるために、僕をここまで連れてきてくれたのですか?」
「・・・。」
返事は返ってこない。
だけど、そうだと思うことにした。
「ありがとうございます!ヘルメットマンさん!!」
「・・・。」
(わかってます!シャイな性格だというのはわかります!)
「ヘルメットマンさんは、本当にいい人ですね♪」
「・・・。」
そう伝えて、スマホをしまうと、しばし夜景を鑑賞する。
しばらく夜景を見ると、ヘルメットマンさんがアメ玉をくれた。


