彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




後悔しながら後ろに乗っていれば、不意にスピードが落ちていく。





「ヘルメットマンさん?」





名前を呼べば、ヘルメットマンさんが指さした。





(なに?)





指さす方を見て、息をのんだ。






「わあ~きれいな夜景!!」






集会で、ある程度の夜道は制覇してるけど、この景色は見たことがなかった。





(こんなきれいな場所があるなんて!!)





街の明かりが1枚の絵画のようになっていて、思わず見惚れてしまった。






「素敵ですね・・・!」






そんな私のつぶやきに合わせて、バイクがゆっくり止まる。
止まったバイクの後ろで、ゆっくりと絶景を見ることが出来た。






(瑞希お兄ちゃんは知ってるのかな・・・このキレイな夜景を♪)

今度聞いてみよう。

というか、画像に撮って見せよう!






「あ、あの!この夜景、撮ってもいいですか!?」
「・・・。」






何も言わなかったけど、拒絶の動きは見せなかったので撮ることにした。





カシャシャシャシャ!

「やった!うまく撮れた!撮れましたよ!ヘルメットマンさん!」
「・・・。」





ヘルメットマンさんの腕を引っ張り、スマホにおさめた画像を見せる。
これに、フルフェイスの顔をこちらに、スマホに向けてくれるヘルメットマンさん。
しかし、すぐに顔を元に――――――前へと向けてしまった。
不備があるという態度を取られなかったので、うまく撮れていると、相手が思ってくれたことにした。
そう考えた時、ある考えが私の中でわき起こった。





「もしかして・・・この夜景を見せるために、僕をここまで連れてきてくれたのですか?」
「・・・。」





返事は返ってこない。
だけど、そうだと思うことにした。






「ありがとうございます!ヘルメットマンさん!!」
「・・・。」

(わかってます!シャイな性格だというのはわかります!)

「ヘルメットマンさんは、本当にいい人ですね♪」
「・・・。」






そう伝えて、スマホをしまうと、しばし夜景を鑑賞する。
しばらく夜景を見ると、ヘルメットマンさんがアメ玉をくれた。