彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「湖亀さん!?」





思わず駆け寄れば、荒い息で湖亀さんがつぶやく。







「帰らないで・・・・・・蓮ちゃん・・・・・・・」
「湖亀さん。」
「はあ、はあ、はあ・・・・・・ごめんなさい・・・・びっくりして発作が―――」
「蓮!お前が帰ろうとするから、寂しがった湖亀が発作を起こしたんだぞ!?」
「そんな理由で発作が起きますか、達比古教授!?」
「おじいちゃんと呼べ!!蓮、お前は苦しんでる湖亀を残して帰る気か!?そんな薄情な子なのか!?」
「あなたの息子さんに比べれば、情はあります。」
「だったら、まだいろ!!帰るんじゃない!!」
「でも―――――――!!」


「着替えたくないんだろう?」


「え!?」







そう言ったのは、湖亀さんの背中をなでている元・ヘルメットマンさん。







「着替えたくないから、帰るんだろう?」

「そ、それは――――――」







核心を突かれ、返事に困れば、ため息交じりに柊護(しゅうご)さんは言った。







「だったら、着替えなくていい。その様子じゃ、髪についてるジュースをシャワーで落とすのも嫌がりそうだから――――――――舟槙(しゅうま)、介護用のシャンプーで凛道蓮の髪を洗ってこい。介護用シャンプーなら、服を脱がなくていいからな。」
「え・・・!?」
「ぶどうくさい身体で、おばあ様の病室をうろつくな。同じいるなら、キレイにしてこい。連れて行け、舟槙(しゅうま)。そして、キレイにした凛道蓮を連れて、おばあ様の元に帰ってこい。」
「わかった、柊護(しゅうご)。蓮クンもそれでいいね?帰らないね?」
「・・・・・・・・わかりました。」
「聞きましたか、おばあ様?凛道蓮は帰りません。まだ、おばあ様のお側にいますよ。」
「ありがとう、柊護(しゅうご)ちゃん・・・!本当に柊護(しゅうご)ちゃんは自慢の孫だわ・・・!」
「ははは!いいぞ、柊護(しゅうご)!よく、蓮を引き留めた!」
「蓮ちゃん・・・ばあばの元に、帰ってきてね・・・!?」
「・・・・・身だしなみが整い次第、『湖亀さん』の元に帰ってきます。」
「!?」







私の返事に、老女の目が悲しそうに見開かれる。
しかし、すぐに笑顔を作るとうなずきながら言った。