彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「そうだよ。ジュースが一番かかったのは顔だけど、服にも飛び散ってるよ。見てごらん。」
「あ、本当だ。」





舟槙(しゅうま)さんがつまんでいる部分が、紫色に変色していた。
モニカちゃんが作ってくれたパンクロリータ服に、飛沫模様が追加されていた。
てか、元の生地が元の生地だから―――――――――







「このままでも、カッコよくないですか?」
「よくないよ!?果汁だから、菌が繁殖しちゃうよ!?」
「そうですか?」
「そうだよ!大伯母様も、着替えてもらった方が良いと思いますよね!?」
「そうね。ちょうど、蓮ちゃんにプレゼントしようと思って、外商で注文した服がここに届いてるの。それを着てちょうだい、蓮ちゃん。」
「え!?いえ、いいですよ!!」

(着替えなんてしたら、女だってバレてしまう!!ここでの身バレは防がなきゃいけない!!)

「遠慮しないでちょうだい、蓮ちゃん。舟槙(しゅうま)ちゃん、8号室のお部屋でお着替えを手伝ってあげて。」
「わかりました、大伯母様。」
「いえ!!着替えなんてとんでもないです!!しかも外商の服って、あれですよね!?デパートで、お金持ちが買う高級品を取り扱う部署が用意したものですよね!?」
「お金のことは気にしないでちょうだい。蓮ちゃんは私の孫なんですから。」
「孫じゃないですっ!!!本当に赤の他人ですから!!あ、僕、帰りますね!!」
「え!?蓮ちゃん!?」

孫じゃないと誤解を解きたかったけど、タイムオーバーだわ!

これ以上ここにいたら、女子だとバレかねない!

「では、お邪魔した!さようならー!」







そう思い、湖亀さんに背を向けた時だった。





「うっ!?苦しい・・・!」
「湖亀!?」
「おばあ様!」
「大伯母様!?」
「うっううううううう!!ううう―――――――――――!!」
「え!?」





突然の唸り声が、部屋中に響く。
振り返れば、湖亀さんが、胸を押さえてうずくまっていた。