(これからどうしよう・・・)
今すぐに帰れば、まだあの不審者の父親はいそう。
瑞希お兄ちゃん達が帰ってくるのには、まだまだ時間がかかる。
(1人で時間をつぶすにも、どこへ行けばいいやら――――――――)
キキッ!
「わ!?」
私の思考を遮断するように、バイクが止まる。
見れば、赤信号だった。
それで私は、ヘルメットマンさんに言った。
「あ、あの!ここまでくれば大丈夫だと思うので、もう平気です!おろして下さい!」
「・・・。」
それにヘルメットマンさんは答えない。
小脇に抱えたまま、おろそうともしてくれない。
「あの・・・本当に、これ以上ご迷惑はおかけできませんので、おろし―――――――」
スッ!
「えっ?」
優しい動きでヘルメットマンさんが、私を地上におろしてくれた。
「あ、ありがとうござ――――――!」
グイ!
「えっ!?」
お礼の言葉をさえぎり、私の腰を抱き寄せた。
ビックリして固まれば、抱き寄せた腕が離れ、後部座席のシートを叩いた。
トントン!
「・・・乗れってことですか?」
「・・・。」
トントン!
返事の代わりに、シートをもう一度叩く。
「・・・じゃ、じゃあ、お邪魔します・・・。」
断るのも悪い気がしたので、恐る恐る後ろに乗る。
すると、どこからともなく取り出した半ヘルメットを私にかぶせる。
「わ!?・・・貸してくれてるのですか・・・?」
たぶん、そうなんだろうな・・・。
そう思いながら、半ヘルメットを頭につけながら、後部座席のシートに座る。
ギュワーン!!
私が座ったのに合わせて、エンジンをふかせるヘルメットマンさん。
ビクッとして気が付く。
信号が黄色になっていたことに。
「あ・・・・」
そう声を漏らした時には、青に変わった信号に合わせ、バイクは発進していた。
ギュワワワ―ン!!―――――――――ギュワーン!!
「わわっ・・・・・・!?」
早いスピードだけど、安定して乗り心地が良かった。


