彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




(これからどうしよう・・・)



今すぐに帰れば、まだあの不審者の父親はいそう。
瑞希お兄ちゃん達が帰ってくるのには、まだまだ時間がかかる。





(1人で時間をつぶすにも、どこへ行けばいいやら――――――――)

キキッ!

「わ!?」





私の思考を遮断するように、バイクが止まる。
見れば、赤信号だった。
それで私は、ヘルメットマンさんに言った。



「あ、あの!ここまでくれば大丈夫だと思うので、もう平気です!おろして下さい!」
「・・・。」



それにヘルメットマンさんは答えない。
小脇に抱えたまま、おろそうともしてくれない。



「あの・・・本当に、これ以上ご迷惑はおかけできませんので、おろし―――――――」

スッ!

「えっ?」



優しい動きでヘルメットマンさんが、私を地上におろしてくれた。



「あ、ありがとうござ――――――!」

グイ!

「えっ!?」



お礼の言葉をさえぎり、私の腰を抱き寄せた。
ビックリして固まれば、抱き寄せた腕が離れ、後部座席のシートを叩いた。





トントン!

「・・・乗れってことですか?」
「・・・。」

トントン!





返事の代わりに、シートをもう一度叩く。





「・・・じゃ、じゃあ、お邪魔します・・・。」





断るのも悪い気がしたので、恐る恐る後ろに乗る。
すると、どこからともなく取り出した半ヘルメットを私にかぶせる。





「わ!?・・・貸してくれてるのですか・・・?」

たぶん、そうなんだろうな・・・。





そう思いながら、半ヘルメットを頭につけながら、後部座席のシートに座る。





ギュワーン!!





私が座ったのに合わせて、エンジンをふかせるヘルメットマンさん。
ビクッとして気が付く。
信号が黄色になっていたことに。



「あ・・・・」



そう声を漏らした時には、青に変わった信号に合わせ、バイクは発進していた。





ギュワワワ―ン!!―――――――――ギュワーン!!


「わわっ・・・・・・!?」





早いスピードだけど、安定して乗り心地が良かった。