彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






見えない視界と、甘い匂いを感じながら後退すれば、エキゾチックな女性の声が私に迫る。







「よくもバークリックを!!息子になんてことをするの!?許さないわよ凛道蓮!!」







その言葉で、親子なのだと理解する。





(つまり、この3人は家族なのね!?)

家族なのはわかったが、今はそれどころじゃない!

(瑞希お兄ちゃんのシルキロール、どうなった!?ジュースかかってない!?汚れてない!?しみになってない!?)





〔★凛は瑞希からの贈り物の心配しかしてない★〕





不安な気持ちで、袖で目元をこすって目を開ける。
鏡で確認する前に、違うものが目に飛び込んできた。
それは鬼のような形相でにらみながら、こぶしを振り上げる美魔女の姿。





(最悪!!どうしようー・・・)





わざと攻撃にあたって反撃するべきか、あたらないように逃げに徹するべきか、迷ったその時だった。







「シリラット!!マニーラット!!やめなさい!!」







そう言って、私と女性2人の間に割って入ったのは――――――――







「檜扇二三人さん!?」

「「ポー!?」」







私の中で、印象の悪い男性だった。
私をかばう二三人さんを、母子は声をそろえて『ポー』と呼んだ。







「『ポー』って・・・なに??」

「『お父さん』という意味だ。」

「檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さん!?」







意味を教えてくれたのは、ひっくり返った若い男性を見ている元・ヘルメットマンさん。







「騒ぐな、シリラット。マニーラット。バークリックは軽い脳震盪を起こしてるだけだ。おい、医者を呼んで来い。」
「は、はい!」







そう告げると、SPの1人に指示を出す柊護(しゅうご)さん。





「蓮クン、大丈夫!?」





その様子を見ていた私に、舟槙(しゅうま)さんがかけよる。
そしてハンカチで、ジュースでぬれた顔を拭いてくれた。
それで、母子が再び騒ぎ始めた。







「舟槙(しゅうま)!なぜ、凛道蓮に優しくする!?凛道蓮はバークリックにケガさせた!!」
「落ち着いて、シリラットさん!そもそも―――」

「そもそも、先に手を出したのはシリラットだ。」







舟槙(しゅうま)さんの言葉を、柊護(しゅうご)さんが遮りながら言う。







「凛道蓮のせいで、私は転んだのよ!?」
「落ち着いて、シリラットさん!人の―――――」

「人のせいにするな。シリラットが、お前が、自分で、勝手に、1人で、転んだんだろう。」







再び舟槙(しゅうま)さんの言葉を、柊護(しゅうご)さんが遮りながら言う。