「あ!?ちょっと、なにするんですか!?」
「来なさい!悪いようにはしないから!」
「すでに悪くされてますよ!離して!!」
力を込めて掴まれた腕を振る。
ブン!
「うわ!?」
ドサ!
(あれ!?)
あっさりと、私から手を離す相手に拍子抜けする。
(そんなに強くはない?)
家に逃げ込んじゃえば、こっちのもんじゃない?
そう思ったが、甘かった。
「旦那様!」
「大丈夫ですか、旦那様!?」
「お怪我はありませんか!?」
どこからともなく、スーツ姿の男達がぞろぞろと出てくる。
(いつの間に!?)
反射的に戦闘態勢を取れば、助け起こされながら不審者の男は叫んだ。
「凛道蓮君を確保しなさい!!」
「え?」
「「「はい!」」」
その命令で、スーツの男達が私に近寄ってきたのだが―――――――
ギュワワワ――――――――――ン!!
間近でエンジンの音がした。
(この音は!?)
ギュワーン!!ギュワーン!!ギュワ―――――――――ン!!
音がした方を見れば、バス停の方角から1台のバイクがこっちに向かって来る。
「な、なんだ!?何者だ!?」
「あれは――――!?」
(ヘルメットマンさんっ!!?)
ギュワ、ギュワ、ギュワワワ――――――――――ン!!
歩道にいる私達へと、ヘルメットマンさんは突っ込んできた
ガシ!!
「え?」
ヒョイ!!
「え!?」
不審者の父親とスーツの男達の間をすり抜けると、私を抱きかかえて走り抜けた。
「なっ!?まっ、待て―――――――――!!」
ギュワワワ―ン!!―――――――――ギュワーン!!
徒歩で追いかけてこようとする男達をあざ笑うように、直管コールを鳴らすヘルメットマンさん。
あっという間に、フェリチータは遠ざかり、道路中央をさっそうと走る。
「あ、あの!」
「・・・。」
いきなり現れたことに驚いたが、言うべきことは言わなければと思って声をかけた。
「助けて頂き、ありがとうございました!!」
「・・・。」
(・・・・・まただわ。)
お礼を言うが、返事は返ってこない。
それどころか、一言もしゃべらない。
いつものことだけど、本当にヘルメットマンさんはシャイだと思う。
そう思う一方で、私は考えた。


