怪しい奴を交番に捨ててきた私は、フェリチータの前に帰り着く。
今度こそ、裏口から中に入って、瑞希お兄ちゃんの帰りを待とうとした時だった。
「おい、君!!そこの、凛道蓮君!!」
「え?」
再び名前を呼ばれる。
声がした方を振り返って、思わずギョッとした。
無意識のうちに、口から言葉を発していた。
「あなたさっきの人ですか!?警察から逃げるのに苦労するあまり、老化しましたか!?」
「親子だよ!!」
「親子!!?」
〔★DNAが同じだった★〕
相手の返事に驚けば、驚がくした表情で、相手は私に迫ってきた。
「何考えてるんだ!?なんてことするんだ!?なんで息子を、警察に連れて行って、置いて帰るんだ!?」
「え!?助けずに見てたんですか!?のぞき!?」
「のぞ!?い、いやいや!そうじゃない!」
「怪しいですね・・・」
「怪しくない!俺は、真田瑞希の関係者なんだぞ!?」
「それ、さっきの若い人、息子さんも言いましたけど?」
「そうだよ!息子も怪しくないと言ったのに、なんで警察に引き渡すかな!?」
「怪しいからに決まってるでしょう。不審者の自己申告ほど、あてにならないものはないです。」
「調査通りの子だな!?とにかく、交番で息子の誤解を解くから、一緒に来なさい!」
「はあ?あなた1人でいけばいいじゃないですか?」
「はあ!?息子を見捨てる気か!?」
「自己紹介ですか?あなたの話しぶりからすると、息子さんが伊藤巡査に引き取られた時、あなたもその現場を見ていたんでしょう?父親なら、息子を助けに飛び出してくるぐらいして下さいよね?」
「ぐううう!もういい!いいから一緒に来なさい!!」
そう言うなり、私の腕を強引につかむ不審者の父親。


