彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「よかった~どうもありがとう!」
「マジ、内緒でよろしくね!?」
「はい、承知いたしました。」
「あ、そう言えば坊や、トイレ大丈夫!?」
「つい、愚痴って話し込んじゃったよね!?急ごうか!?」





こちらを気遣う2人に、私は笑顔で答えた。





「あ、はい。お気遣い、ありがとうございます。」





そう言って2人は、水を一気飲みするとからのペットボトルをゴミ箱に捨てる。
そして、私をお手洗いの場所まで連れて行ってくれた。
ラッキーなことに、ここのトイレはバリアフリーのための男女共用のトイレがあった。





「悪いけど、トイレ終わったら、私らを待っててもらえる?」
「一緒に帰らないと、檜扇教授が怒るんだよね~」
「もちろん、お待ちします。焦らず、ゆっくりされて下さい。」
「ありがとう~ちょっと吐いてくるわ!」
「私も!吐くから、時間かかるけどごめんね。」
「大丈夫です。お気になさらず、吐きだしてきてください。」

「「ありがとー♪」」





声をそろえて私にお礼を言うと、素早く女子トイレに駆け込むお姉さん2人。
ほどなくして、女子トイレの中から、ゲェゲェと、嘔吐する声が聞こえてきた。







(ご愁傷様です・・・。)







お姉さん2人を気の毒に思いながら、静かに女子トイレの前で合唱する。







(人生がかかってるとはいえ、男尊女卑の老害の元で、ゲテモノ料理を毎回食べないといけないなんて・・・・・どう考えても拷問よね・・・。)

訴えるべきところに訴えれば、環境改善されるんじゃないかと思う。

(でも、私が余計なことをして、彼女たちの未来をつぶすようなことになってはいけないから――――――――――手は出さないでおくか。)

小さな親切大きなお世話、ということわざもある。

必ずしも、良いことへ作用するとも限らない。

なによりも、彼女達を含むゼミ生は、リスクを覚悟で檜扇達比古教授を選んだのだ。

乗り切れるように、神様に応援する以外、私にできることはないだろう。







そう考えながら、私も念のためトイレへ―――――男女共用のトイレに入って用をたしたのだった。