彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「滅相もございません!ご覧の通りちっちゃくて、優柔不断な草食系男子ですよ~」
「ははは!そのちっちゃい身体で、町内安全パトロール隊に所属して、町の治安を守ってるんだろう!?立派なことじゃないか!」
「あ、きょ、恐縮です!」

(町内パトロールの件、知ってるの!?可児君が話したのかな?可児君、他にも何か言ってそうだけど~)

「活動も立派だが、姿勢からして違うね!凛道蓮くん、何か武術を習ってるんじゃないのかい!?」
「え!?」
「立ち姿を見れば、だいたいわかるよ!柔道には興味あるかな?よければ、良信君と一緒に習わないかい!?私は、君みたいな子を教えてみたいよ!」
「あ、えっと、僕は~」
「光憲(みつのり)さん、立ち話もなんだから、場所を移動してはなそうじゃないか!私も凛道蓮くんからいろいろ話を聞きたい!凛道くん、良かったら夕食を食べていきなさい!寿司の出前を取るから!他のお友達も食べておくれ!」
「いいな、親父!そうして下さい、凛さん!!」
「ま、待って下さい!こんなに大勢・・・僕を入れて9人いますが、いいのですか、ご住職さん?」
「そういってるじゃないか、凛道くん!みなさんから、良信の話を聞きたいから奮発しておごるよ!」
「そんな!おごって頂くのはいけませんよ!お支払いを―――――――!」
「子供が遠慮しちゃいかんぞ、凛道くん!他の友達も、遠慮しなくていいからね?」
「うははは!凛、ご住職の仰る通りや!ここは遠慮しちゃいかん!ごちそうになろうや!」
「ちょ、ヤマト!?」
「ヤマトっちの言う通り系!ゴチになります、良信くぅんのお父様~♪」
「「「「「「「ゴチになりまーす!」」」」」」」
「え!?みんな!?」
「ははは!どういたしまして!そうと決まれば、ウーバーイーツを頼まないとな!」
「すみません、ご住職さん・・・。」
「気にしなくていいんだよ、凛道くん!」
「そうっすよ、凛さん!さあ、我が家の食卓へ行きましょう!」
「あ、待って、可児君!」





五分刈りの友達に引っ張られ、慌てて手に持っていたものを、舟槙(しゅうま)さんの連絡先を、ポケットにしまおうとした時だった。





ヒラリ!

「あ。」





風もないのに、メモ紙が手からすり抜けた。





「落ちたよ。」





そう言って、しゃがんで、鳥恒先生が拾ってくれた。