「チョコ、時間だ。」
「え?」
そう言って、隣を歩いていた瑞希お兄ちゃんが、ご自身のスマホ画面を私に見せてきた。
画面に表示された数字は、22時をお知らせしていた。
「あ!?もう22時ですか!?」
「楽しい時間は、あっという間に過ぎちゃうなーねぇ~チョコたん?」
「え?えーと、これお仕事なので、楽しいかどうかは・・・」
「瑞希が一緒だから楽しい、じゃないの、チョコたーん?」
「楽しいですね!!」
ニヤニヤ顔の烈司さんに言われ、即答でうなずく私。
そんな私の側で、瑞希お兄ちゃんが前を歩く大原会長さんに言った。
「会長!凛はもう時間です!」
「なに!?楽しい時間は、あっとゆーまにすぎるなぁ~!?」
「なに言ってんすか、これ仕事でしょう?」
「なんだよサナちゃん!チョコちゃんが一緒だと楽しい、じゃないのか!?」
「い、いや、そりゃあ楽しいっすけど~!」
「ははは!素直だな、サナちゃん!」
「からかわんで下さい、会長!!つーことで、チョコは16歳だから、出歩くのはここまでですよね!?」
「そうだな!おじさんが家まで送ってやるよ!」
「いや、チョコは俺が送ります!」
「瑞希お兄ちゃん♪」
「会長はこのチームのリーダーでしょう?リーダーはみんなをまとめて下さい。」
「上手いこと言いやがるな~サナちゃん!正論言われちゃ、おじさんチョコちゃんの見送りを諦めるしかないじゃねぇかー?」
「すねんで下さい。じゃあ、チョコは俺が連れて帰りますから。帰るぞ、チョコ!」
「はい、瑞希お兄ちゃん!」
やったー!夜回りのご褒美キタ――――――――――!!
(瑞希お兄ちゃんと2人きりになれる時間、ゲットだぜぇ♪)
上手くやれば、手をつないで家まで帰れるかもしれない。
〔★凛の期待はふくらんでいる★〕


