『Ryuseigun』の文字が入ったスカジャンは、総合的には、効果抜群だった。
「こんばんはーここでたむろされると困ります。飲食したゴミを片付けて、解散して下さい。」
「なんだチビ助?俺らに言ってんのか、コラ?」
「待てよ、こいつどこかで見たことが――――・・・あ!?龍星軍の凛道蓮さん!?」
「え!?あの凛道蓮さん!!?」
「殺し屋のジャック・フロストさん!?」
「ヤバいヤバいヤバい!軽く半グレ集団いくつもつぶしてる人だ!言う通りにしないと殺される!」
「あ、す、すんませんでした!すぐに解散します!!」
「ゴミもきちんと捨てます!処分しますから、俺らを処分しないで下さい!」
「ほら、急いで逃げ――――片付けて帰ろう!!」
「「「「「どうも失礼しましたぁ―――――――――!!!」」」」」
散乱していたゴミをゴミ箱に捨てると、額が太ももにくっつくんじゃないかという敬礼をして立ち去っていく若者達。
「すごいですね、スカジャン効果。あっという間に、いなくなってくれます。」
「いや、あいつらチョコの背中は見てないだろう?」
「うん、チョコたん見て、逃げたんだよ?」
「・・・。」
(言葉にされると、つらいものがある・・・)
〔★スカジャンではなく、凛道蓮効果で追い払えていた★〕
瑞希お兄ちゃんと烈司さんの言葉に、何とも言えない気分になる。
声をかけるたびに、人を化け物のように呼ぶところに傷ついた。
(けっこー心にダメージがくるよ、この活動!!)
そんな私に、感心しながら大原会長さんは言う。
「チョコちゃんの双子のお兄ちゃんはすごいなぁー!!凛道蓮君にもお礼したいから、今度、おじさんのところに来るように言ってくれよ、チョコちゃん!」
「だから、僕がその凛道蓮なんですってば!!」
「ははは!そういう設定だったねー!?はーはっはっはっ!」
(この人、本当にわかってるんだろうか・・・!?)
ただでさえ、1人2役してるだけでも大変なのに、追加で1人3役なんてしたくないんですけど!?
ご機嫌で前を歩くおじいさんを見ながら、そう思っていた時だった。


