部下は法定速度を守り、夕焼けの街を走っていた。
正面の信号が黄色へと変わったので車は停車する。
「バラさん、今夜あたり、凛道蓮は、龍星軍は集会を開きますかね?」
そう聞いてきたのは、エリートコースが約束されている部下の岩倉。
ハンドルを握りながら、後部座席を振り返りながら若造は言う。
「前回のあゆみが丘学園での文化祭では取り逃がしましたが、今度こそ現行犯逮捕したいですよ!」
「いや、前回の件は、龍星軍は悪さどころか、良いことしてるじゃないか?」
そう言ったのは、俺の長年の部下で、岩倉の先輩でもある荒川だ。
「八百長の記録を取ってくれたから、仕事が楽だったと、捜査一課の連中が言ってたぞ。」
「荒川先輩!!龍星軍は、凛道蓮は不良なんですよ!?取り締まる側が、取り締まられる側に助けてもらうなんて、おかしいじゃないですか!?」
ぷんぷん怒る岩倉に、荒川は苦笑い会で返す。
「俺にかみつくなよ。ヤンキーとして暴走族作って活動してるのは、うちで取り締まらなきゃならないことだが、非行活動しながらも、凛道蓮が龍星軍を使って、悪い大人の取り締まりをしてるのも事実だろう?」
「荒川先輩は、凛道蓮を大目に見ろって言うんですか!?」
「そうは言ってねぇよ!江戸時代に、金持ちから金を盗んで貧乏人に分け与えた鼠小僧が犯罪者だったように、凛道蓮のしていることも同じことだ。義理と人情で誤魔化そうが、悪人は悪人、悪ガキは悪ガキだ。そうっすよね、バラさん?」
「そういうことだな。」
凛道蓮のしていることは、昔の義賊がしてるような真似だ。
最近じゃあ、町内パトロールにも参加してると聞く。
大原会長は、龍星軍を利用しているだけだというが、それは口先だけのウソだというのはわかってる。
確実に龍星軍は、一般市民の心をつかんで、英雄になりつつある。
街のヤンキーを英雄扱いする大人が、これ以上増えたらたまらねぇ!


