マクドナルドでリラックスをし、花屋でじっくり花を選び、ヤマトの単車で千葉総合医療病院に向かった。





「うははは!凛!そろそろ着くから、スイッチ夜露死苦!!」
「了解!スイッチオン!完了でーす!」





デジタル表示の腕時計のボタンを押せば、録音が開始された。・・・はず。
念のため、2台目のスマホの方も録音モードに設定した。
ヤマトの単車のタンデムバーで身体を支え、購入したばかりの鮮度の良い花束がつぶれないように抱える。
花屋のお姉さんは親切で、今の季節の花なら『アルストロメリア』がお見舞いの花にいいんじゃないかと、可愛いブーケにしてくれた。
いろんな色があったけど、花言葉が『気配り』ということで、『ピンク色のアルストロメリア』を選んだ。





(こっちが気配りするほどのおばあ様だったらいいんだけどね・・・。)





そんな思いで、風に揺れるピンクの花を眺めていた時だった。





「うははは!凛、凛!着いたけどーあれ、檜扇はんちゃうかー!?」
「え!?」





ヤマトの言葉で前を見れば、病院の正面玄関で、行ったり来たりして、辺りを見回している口ひげ親父がいた。





(病院の敷地内に入ってから、連絡しようと思ってたのに―――――――外で待ってたの?)





何とも言えない気持ちになっていれば、口ひげ親父がこちらを見た。







「凛道蓮く――――――――――――――――――ん!!!!」







バカでかい声で呼ばれ、無視できなかった。
ヤマトに合図すれば、単車は口ひげの前で緩やかに減速して止まった。





「よく来てくれたね、凛道蓮君!!!ずっと待っていたよ!!!」
「そのようですね。ご足労頂き、感謝いたします。」
「いいよ!いいよ!気にしないで!さあ、おいで!!母の病室まで案内するから!!」
「その前に、単車を置いてきますから待って下さい。」
「え!?凛道蓮君だけ来てくれればいいんだけど!!?」
「うははは!わしはお呼びでないってかー!?」
「わかってるじゃないか!!送迎、ご苦労様!!」





そう言ってヤマトに札束を差し出したので、私はムッとするのを抑えながら言った。