その直後。激しく燃え盛る扉の向こうでかすかに低い声が聞こえた。

「咲里(さり)っ……咲里……」


この声……お父さんだ……無事だったことに安堵して、口元がほころぶ。


なんとかして、そっちに行きたい。

そんな強い思いを持ち、ベッドから体を起こす。

お父さん、わたしに気付いて。

いっしょに、なんとか生き延びよう。

しかしその直後、ドンッと大きな爆音が扉の向こうから聞こえ、目の前が真っ黒になった。


「咲里ぃ……!」


わたしはこのとき、ぜんぶ分かったんだ。

お父さんが、わたしを置いて死んじゃったってこと……。