肌がじりじりと痛んで、重たい瞼をゆっくりと開く。

 視界に広がったオレンジの炎は、ギラギラと輝いていくつもとぐろを巻き重なって見える。

 「はぁはぁっ……うぐっ……」

 煙が鼻と口から一気に肺に流れ込んできて、苦しくて涙が滲んだ。

 ここが自分の部屋なのかすら分からない。

 夢……にしては、息が苦しくて、目が痛くて……皮膚が痛む。

 あぁ……うちの家で、火事が起きちゃったんだ。

 これを素直に受け入れてしまったら、死ぬのをこの場所で覚悟しなきゃならない。

 わたし、全然死にたいなんて思っていないよ。

 今はよく思い出せないけれど、やり残したことが山のようにあったはずだし……。


 「お……と……さ」


 少し頭が冷静になったら、不安が心を飲み込んだ。

 となりの部屋で寝ていたはずのお父さんは、無事なのかな。

 最後の力を振り絞って体をゆっくりと起こす。