草木も眠る丑三つ時……の1時間前。
俺と変装した真冬兄は、シャワー室に来ていた。
真冬兄は黒髪のウィッグを付けていて、念の為カラコンもしている。
こそっと廊下に出て、人がいないことを確認。
フードを深く被り、シャワー室へ入る。
洗濯機の中を覗くと、乾燥をかけた俺の服が入っていた。
誰かが細工した形跡は……なさそう。
そう思って服を取ろうとした俺の手を、真冬兄ががしりと掴んだ。
俺が何か喋る前に、唇に人差し指を当てられる。
そして、俺に向かって首を振ると、指文字をし始めた真冬兄。
『フェイク』、『触るな』、『今日は』、『戻る』
……フェイク!?
急いで地下室へ戻る。
内側から鍵をかけて、何重にもロックを重ねながら真冬兄は口を開いた。
「多分だけど……あれには爆弾が仕掛けられていた。中身は……睡眠薬ってところかな」
す、睡眠薬……。
と言うか、なんであんな一瞬で気づけるの……!?
俺なんかホイホイ引っかかっちゃって……。
「でも、さりげなく千秋は手前の洗濯機じゃなくて真ん中の洗濯機を選んだろ」
それは、もちろん図星。
1番手前と1番奥は、絶対に何か仕掛けがしてある、って昔真冬兄に教えてもらっていたから。
「それは……真冬兄に教えてもらったから」
「それでも、覚えていたんだろ?」
えらいえらい、と頭を撫でられる。
「なぁなぁ、俺にはー?」
立夏兄が笑いながら自分の頭を指さす。
「よしよし、立夏も頑張ったな〜」
くしゃくしゃっと、頭をやや強引に撫でた真冬兄。
「なんか俺だけ雑くないかー?」
しょぼくれる立夏兄に、真冬兄は妖艶に微笑む。
「なら……キスして元気付けたろーか」
「するならほっぺにちゅーして」
真冬兄は苦笑いで立夏兄を見つめた。
「お前……女に飢えすぎだろ」
「んー」
立夏兄、眠そう……。
「こら、立夏。酒でも飲んだか?」
甘えた様子で真冬兄に抱きつく立夏兄。
真冬兄は、こつんと立夏兄の頭を軽く叩いて、そっと引き剥がす。
確かに……目がちょっと虚ろ……かな?
そう思い、バッグから薬を取り出す。
毒などをくらっても、一定時間効果を無くすことのできる薬。
真冬兄にお水を注いでもらい、薬と一緒に立夏兄に渡した。
「立夏兄、これ飲んで」
「んぁ〜……?」
ふにゃふにゃしている立夏兄は、なんとか薬を飲み込んでいる。
ごくり、と立夏兄が薬を飲んだ瞬間。
「んん……おはよ」
さっきとは違って、けろっとしている立夏兄。
「あぁ"ー!おま、立夏!」
真冬兄が突然大声を出した。
ま、真冬兄、しぃーっ!
真冬兄は、立夏兄を睨みつけながら口を開く。
「俺の隠してた、大事な大事なウィスキーボンボン、食べたろお前!!」
涙を滲ませて叫ぶ真冬兄。
え?
立夏兄って、未成年じゃ……。
というか、真冬兄もまだ19歳では!?
「い、イギリスは18歳から飲めるから!!な!?」
焦ったように付け足す真冬兄。
「俺ももう18だよ〜。この前誕生日だった!」
ニコニコとそう言った立夏兄に、苦笑いを返す。
「千秋は……15か」
「うん!」
俺の誕生日も、もうちょっとだっ……!
「15かぁ……こんなことに、巻き込んでごめんな」
真冬兄は自虐的に微笑んで、俺の頭をそっと撫でた。
俺と変装した真冬兄は、シャワー室に来ていた。
真冬兄は黒髪のウィッグを付けていて、念の為カラコンもしている。
こそっと廊下に出て、人がいないことを確認。
フードを深く被り、シャワー室へ入る。
洗濯機の中を覗くと、乾燥をかけた俺の服が入っていた。
誰かが細工した形跡は……なさそう。
そう思って服を取ろうとした俺の手を、真冬兄ががしりと掴んだ。
俺が何か喋る前に、唇に人差し指を当てられる。
そして、俺に向かって首を振ると、指文字をし始めた真冬兄。
『フェイク』、『触るな』、『今日は』、『戻る』
……フェイク!?
急いで地下室へ戻る。
内側から鍵をかけて、何重にもロックを重ねながら真冬兄は口を開いた。
「多分だけど……あれには爆弾が仕掛けられていた。中身は……睡眠薬ってところかな」
す、睡眠薬……。
と言うか、なんであんな一瞬で気づけるの……!?
俺なんかホイホイ引っかかっちゃって……。
「でも、さりげなく千秋は手前の洗濯機じゃなくて真ん中の洗濯機を選んだろ」
それは、もちろん図星。
1番手前と1番奥は、絶対に何か仕掛けがしてある、って昔真冬兄に教えてもらっていたから。
「それは……真冬兄に教えてもらったから」
「それでも、覚えていたんだろ?」
えらいえらい、と頭を撫でられる。
「なぁなぁ、俺にはー?」
立夏兄が笑いながら自分の頭を指さす。
「よしよし、立夏も頑張ったな〜」
くしゃくしゃっと、頭をやや強引に撫でた真冬兄。
「なんか俺だけ雑くないかー?」
しょぼくれる立夏兄に、真冬兄は妖艶に微笑む。
「なら……キスして元気付けたろーか」
「するならほっぺにちゅーして」
真冬兄は苦笑いで立夏兄を見つめた。
「お前……女に飢えすぎだろ」
「んー」
立夏兄、眠そう……。
「こら、立夏。酒でも飲んだか?」
甘えた様子で真冬兄に抱きつく立夏兄。
真冬兄は、こつんと立夏兄の頭を軽く叩いて、そっと引き剥がす。
確かに……目がちょっと虚ろ……かな?
そう思い、バッグから薬を取り出す。
毒などをくらっても、一定時間効果を無くすことのできる薬。
真冬兄にお水を注いでもらい、薬と一緒に立夏兄に渡した。
「立夏兄、これ飲んで」
「んぁ〜……?」
ふにゃふにゃしている立夏兄は、なんとか薬を飲み込んでいる。
ごくり、と立夏兄が薬を飲んだ瞬間。
「んん……おはよ」
さっきとは違って、けろっとしている立夏兄。
「あぁ"ー!おま、立夏!」
真冬兄が突然大声を出した。
ま、真冬兄、しぃーっ!
真冬兄は、立夏兄を睨みつけながら口を開く。
「俺の隠してた、大事な大事なウィスキーボンボン、食べたろお前!!」
涙を滲ませて叫ぶ真冬兄。
え?
立夏兄って、未成年じゃ……。
というか、真冬兄もまだ19歳では!?
「い、イギリスは18歳から飲めるから!!な!?」
焦ったように付け足す真冬兄。
「俺ももう18だよ〜。この前誕生日だった!」
ニコニコとそう言った立夏兄に、苦笑いを返す。
「千秋は……15か」
「うん!」
俺の誕生日も、もうちょっとだっ……!
「15かぁ……こんなことに、巻き込んでごめんな」
真冬兄は自虐的に微笑んで、俺の頭をそっと撫でた。


