新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

「私、 まだちゃんと言えてなくて……」
「……」
高橋さんは、 優しく微笑みながら私を見つめ、 次の言葉を待っていてくれる。
「ペンダント。 大切にします。 本当に、 ありがとうございます」
「フッ……。 まったく、 お前は……」
高橋さんが、 私の顎を左手で僅かに持ち上げ、 右手で私の左頬を包んだ。
「もっと、 元気になれ」
軽く触れるだけのキスのあと、 高橋さんが優しい笑みを浮かべながら、 髪を撫でてくれた。
「はい……」
恥ずかしかったけれど、 高橋さんの涼しげな優しい瞳を見て、 自分にも言い聞かせるように返事をした。
「それが、 俺にとって何よりのお前からのプレゼントだ」
「高橋さん……ヒクッ……高橋さん」
高橋さんの名前を何度も呼びながら、 思いっきり高橋さんに抱きついた。
うわっ!
「さぁてぇとぉ。 陽子ちゃ~ん! そろそろ、 罰ゲームでも始めようか?」
すると、 高橋さんが自分の身体を反転させて、 私の身体を自分の身体の上に乗せた。
そして、 真上にいる私に向かって怪しく妖艶に微笑んだ。
な、 何?
「ち、 ちなみに、 何をすればいいんですか? そ、 その罰ゲームって……」
恐る恐る、 高橋さんに聞いてみる。
「たまには、 お前からキスしてみるとか?」
た、 高橋さん。 なんて事言って……そんな、 小首傾げながら言われても無理だから。